こんにちは、総合医です。
今回は、私がオーストラリアに留学する事になった時に友人に言われた事についてお話ししてみようと思います。
私がオーストラリアを留学先に選んだのは、学費の安さと、シドニーにオーストラリア人の友人が住んでいたので、困った事があったら助けてもらおうと考えたからです。
シドニーは「世界の住み心地の良い都市ランキング」の一つで上位を取ってる都市なので、その点でも住んでみたい都市の一つでした。
医療業界の中では留学に行く人は今でもアメリカが多く、医療もアメリカが最も進んでいると言われているので、アメリカ留学も考えていた時期がありましたが、最終的にはオーストラリアに落ち着きました。
留学先を選ぶ上で英語のアクセントの違いについてはあまり意識していなかったのですが、いざ留学する事が決まり、友人にその事を報告した所、「オーストラリアなんて行って大丈夫?オーストラリア人ってグッデイとかいうんでしょ?」とかなり批判的な反応をされたのでビックリしました。
日本人の中ではオーストラリア英語は劣っている英語で、アメリカ英語が一番上等な英語という考え方があるというのをこの時に感じました。
おそらく関東に住んでいる人が地方在住者の方言を下に見ているような感覚と近いのではないかと思います。
ちなみに上記の発言をした私の友人は英語を全く話せません。
英語は話せないけど、同じ日本人が話す英語をバカにするというのが日本人に多い性質というのを以前聞いた事がありますが、まさにこれもその一つの例だと思います。
自分は英語を全く話せないけど、アメリカ英語以外の英語を学んでいる人をバカにするというマウント取りという訳ですね。
アメリカ英語は主流?
ただ、実際のところはどうなんでしょうか?
アメリカ英語以外の英語は本当にダサいんでしょうか?
流石にダサいかどうかは個人の主観による部分が大きいと思うので、今回はアメリカ英語がどのくらい多くの人に話されているのかという観点から考えてみたいと思います。
もしアメリカ英語話者が大多数であれば、少なくともアメリカ英語が多数派という事は言えると思います。
流石に全世界レベルでの各アクセントの英語話者の正確な数を調べている統計は見つからなかったので、正確性に多少疑念は残りますが、Wikipedia(List of countries by English-speaking popularion)に掲載されていた数字を基に考察してみたいと思います。
各英語アクセントごとの人数を比べてみると、英語圏でアメリカ人の人口が圧倒的に多いので、アメリカ英語話者の数がダントツで多い事がわかります。
全世界で英語を母語として話している人は4.2億人程度いるので、アメリカの2.5億人という数と比べると、英語ネイティブの人達の半分以上がアメリカ英語を話している事になります。
そう考えると英語圏レベルで見ればアメリカ英語が主流と言えます。
やっぱりアメリカ英語以外のアクセントはダサい?
次に第二言語として英語を話している人の数を見てみると、全世界で8.4億人程度の人口がいる事がわかります。
この8.4億人という数字とアメリカ英語話者の2.5億人を比べてみると、アメリカアクセントで英語を話している人の数は全英語話者の1/4程度、外国語としてアメリカ英語を話している人を加えても半数には全く届きません。
大多数の人は外国語として英語を話しているので、インターナショナルアクセントとでも呼ぶべきアクセントと考えられます。
そのため、アメリカ英語を話している人が多数派というのも、世界レベルで見れば間違っている事になります。
それでもアメリカ至上主義の人達の中には、「外国語として英語を学ぶ人はアメリカ英語を学んでいる」という反論はありそうです。
これに対しては、外国語としての英語を最も使用しているナイジェリアをみてみると、イギリス英語をベースに英語学習がなされている事がナイジェリア英語のwikipediaのページからわかります。
アメリカ至上主義の人からは「途上国はカウントすべきではない」という反論はあるかもしれませんが、少なくとも数の上ではアメリカアクセントは多数派というわけではなさそうです。
そもそも英語話者の人達は自分達の英語アクセントを気にしている?
オーストラリア在住のオーストラリア英語話者に話を聞いても、当然ながらアクセントの違いによってダサいとかイケてるとか考えた事はないと答えます。
アクセントによってどこの国出身か当てて、そこから話題を広げる事はあるけど、どこのアクセントがカッコいいとかはないそう。
もちろんアクセントによっては英語ネイティブでも聞き取りにくい事があり、その点は少し不便を感じる事はあるようですが、その程度との事です。
ちなみにオーストラリア人的に聞き取りにくいと感じる英語のアクセントは、スコットランド英語やアイルランド英語で、インド英語に慣れてない場合にはインド英語も聞き取りにくいと感じる人はいるかも知れないとの返答でした。
これは地理的にも離れていて、それらのアクセントに接する機会が少ないのが原因でしょう。
何が言いたいのかというと、英語を母語とする人達の多くはアクセントの違いをあまり問題にしていなさそうという事です。
英語話者でもない人だけが英語のアクセントについて文句をつけているという不思議な構図になっているという事ですね。
訛りやアクセントで差別する日本人
それではなぜ日本人は英語のアクセントでカッコいいとかダサいといった感情を持つのでしょうか?
ここからは完全に私個人の考えになってしまいますが、一つの要因として、東京で話されている日本語を『標準語』と名づけているためではないでしょうか。
外国語を学び始めて気がついたのは、自国の言葉の方言の一つに『標準』という名前を付けているのは日本人だけではないかという事です。
英語ではイギリスアクセント、オーストラリアアクセントのように国名+アクセントでアクセントを名づけており、中国語でも上海語、北京語など地域や都市名+語で名前がついていて、これが最もスタンダードな『標準アクセント』という名づけ方はされていません。
ちなみにイギリスには『Received Pronunciation』として日本語の標準語のような位置づけの発音の仕方がありますが、見て分かる通りreceivedという比較的控えめの呼び方です。
各言語に最もスタンダードなイケてるアクセントがあるという日本人の思い込みが、アメリカ英語至上主義を生み出しているとしたらあまり適切な捉え方ではないなと思います。
ましてや我々日本人がどれだけ頑張っても、ネイティブのような完璧なアクセントで話すことはほとんど不可能なので、英語を勉強する前からアクセントに変な偏見を持っているのはあまり健全とは言えないと思います。
英語を話せない人に限って他人の英語をバカにするという風潮がなくならない限りは、日本で英語を話せる人が増える日はなかなか来ないのだと思います。
今回の記事はwikipediaの情報をメインにして構成され、最後は私の主観に基づく考察が入っています。
私は専門家でもなんでもないので、もし情報に誤りなどあればコメント欄で教えていただければ幸いです。
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