こんにちは総合医です。
今回はオーストラリアに留学に来て、初めてバイトの面接を受けたお話をしたいと思います。
私は日本での医師免許は持っているのですが、オーストラリアで医師として働くにはオーストラリアの医師免許試験を受験する必要があり、私はまだオーストラリアの免許を持っていません。
今の所オーストラリアでは、公衆衛生学を勉強している一人の学生に過ぎないので、医療行為もできないですし、医療関連の仕事も認められていません。
そのため、医師が留学したからといって、留学中に医療関係の仕事につける訳ではありません。
しかし、大学以外の人との接点がほとんどない生活を送っていると、オーストラリア社会に完璧に溶け込めているとは言えないなと感じ、学生のうちは簡単なバイトをして、オーストラリアの文化や社会システムをより深く知る機会を作ろうと考えました。
オーストラリアはワーキングホリデーで訪れる人が多くいることから、英語が話せない状態でも仕事に就くことはそれほど難しい事ではありません。
ただし、英語が全くできない状態で就職しようとすると、できる職種は限られてきます。
英語がほとんど話せない状態でワーキングホリデーに来る人達の中でメジャーな仕事といえば、日本食レストラン、カフェのウエイトレス、農場での勤務などが挙げられます。
私は自分の勉強している分野の話を大学の人とする場合にはあまり英語で困ることはないのですが、それでもネイティブのオーストラリア人からするとおそらくかなりのカタコトで、英語でのコミュニケーションに難ありと思われてしまうレベルでしょう。
それがわかっていたので、最悪あまり英語を話さなくても働ける仕事に就く事も考えていましたが、せっかくなら英語をメインに使う仕事にダメもとで応募してみようと思い、海外で有名な医療関連企業に応募しました。
医療関連企業と聞くと大層な仕事に聞こえますが、私が応募したのは医療関連の中の眼鏡屋さんの部署なので、平たくいえばメガネ販売店です。
なぜ総合医がメガネ屋?と思われるかも知れませんが、それは単純に友人のオーストラリア人がその店舗で眼科医として勤務していて、「人が足りないから試しに応募してみたら?」と誘ってもらったからです。
彼には、「仕事で英語を使ってれば一気に上達できるからおすすめだよ。君の英語は十分通じるから大丈夫じゃない?」と軽く言われましたが、オーストラリア人は基本的に適当な事を言う国民性があるので、この言葉を完全に信用した訳ではありません。
ただ、英語を使う仕事につけば英語力が磨けるという点は100%同意できたので、ダメもとで挑戦してみることにしました。
同一労働同一賃金
ここからは私が応募した小売店の業種についてお話ししてみたいと思います。
業種ごとに違いがあるのは当然ですが、店舗や企業によっても違いがあると思うので、どの企業にも当てはまる事ではないとは思いますが、私が応募したBupaというイギリスの医療関連企業のオーストラリアの店舗についてお話ししてみます。
日本ではバイトと聞くと、正社員よりも格下で、社員の指示に従って働き、責任はほとんどないような印象を受けると思います。
オーストラリアの場合、カジュアルワーク、パートタイムワーク、フルタイムワークと分かれているものの、同じ職種であれば同格に扱われます。
フルタイムもカジュアルワークも働く時間に差はあれど、行う仕事は一緒で、時給も一緒か、むしろカジュアルワークの方が時給が少し高く設定されている事すらあります。
なぜ少し時給が高いかというと、カジュアルワークでは有給休暇が認められていないからです。
カジュアルワークとパートタイムの大きな違いはそこになります。
ちなみにカジュアルワークでも年金システム(スーパーアニュエーション)が保証されます。
日本のアルバイトの場合、正社員の4分の3以上の勤務や、年間106万円以上の稼ぎがあると、扶養家族から外れて厚生年金に加入という事になりますが、オーストラリアの場合年金制度に入るかどうかは時間や賃金の額では決められていません。
それでは、店舗内で全く上下関係がないかというと、そういう訳ではなく、マネージャーというポジションで働いている人がいるので、それが日本でいう社員のような役割を与えられています。
マネージャーはその業界での勤務経験が必要だったりして、就職の時にすでに販売員とマネージャーで入口が分かれています。
面接はIELTSスピーキングテスト
話が脱線しましたが、仕事の面接の話に戻ります。
面接自体は日本で行われる面接とほぼ同じといった印象でした。
一つ違う点は、面接は店舗で行わずに、近くのカフェに移動してコーヒーを飲みながら行った事です。
日本でももしかしたらそのような業種はあるのかも知れませんが、マネージャーがコーヒーをご馳走してくれて、そこからコーヒーを飲みながら面接が始まったので、海外っぽいなーっと心の中で笑っていました。
面接はもちろん英語で行われたので、わからない単語が出てきたら困るなと身構えていたのですが、日本の面接と同様ほとんどお決まりの質問をされたので、問題なく対処することができました。
面接を受けた感覚としては、IELTSのスピーキングテストを受けているような感じでした。
質問内容はもちろん仕事に関連したものでしたが、簡単に答えられる質問から徐々に難しい質問に移っていき、すぐに答えられない場合にはヒントまで出してもらえて、まさにIELTSスピーキングテストだなと感じました。
IELTSがこれを見越してスピーキングテストを作成しているのだとしたら、実践に即したよくできた試験だなと思います。
具体的な質問内容
具体的にはこれまでの職歴、仕事をする上で大切なこと、問題が起こった時にどのように対処するべきかなどについて質問をされました。
学生であれば、自分が学校で学んでいる内容についても聞かれるかも知れません。
私はメガネ、眼科での職務経験が全くなかったので、比較的一般的な接客業で大事な事について質問されました。
「お客さんに満足してもらうにはどうしたらいいと思うか」や「お客さんとの間で問題が発生した時にどのように対処するべきと思うか」、「自分が客の立場の時に最高だと感じたサービスと、最低だと感じたサービスはどのようなものだったか」などの質問をされました。
どれも無難に「相手の話をよく聞く」、「コミュニケーションをしっかりとる」などの答え方をして、「問題が発生した時はどうするか」という問いには、「すぐにお客さんに謝罪し、何が問題であったのか聴取する」という趣旨の答えをしたのですが、まさかの「謝る必要はない」というアドバイスをもらいとても驚きました。
日本とは真逆の教えですよね。
ではどうすべきかというと、お客さんに共感して一緒に悲しんだり怒ったりすべきだという事でした。
日本語で書くと、少し変に聞こえるかも知れませんが、英語でいう「I’m sorry to hear that」などのようにEmpathizeするのが正解だという様に言われました。
それって人によるんじゃない?とも思いましたが、根本的に英語圏では日本とは全く違う価値観を持っているという文化の違いを、面接の段階から知ることができたので、面接を受けただけでも意味があったなと感じました。
これから面接を受ける人へのアドバイス
一度バイトの面接を受けただけでアドバイスを書くのもおこがましい話ではあるのですが、私がもしアドバイスするとしたら、ほとんどIELTSスピーキングテスト用のアドバイスと同じ内容になってしまうかも知れません。
それは、「事前にお決まりの問いに対する答えを作っておき、自然に口にできるように発音して練習すること」です。
業種によっては、お決まりの一般的な質問はされないかも知れませんが、それでもある程度聞かれる事を予想することはできると思うので、しっかりとそれに対する準備をしておくことです。
IELTSと違って、難しい表現や英単語を選んで使う必要はないので、平易で自分が最も言いやすい表現を使うのが良いでしょう。
あとは「Please give me a moment」などの言葉に詰まった時に、相手に待ってもらうようにお願いするフレーズも準備しておくと、自分が焦ってしまう可能性を減らせるでしょう。
いかがだったでしょうか。
今回の記事が皆さんのお役に少しでも役立てたら幸いです。
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