前回勉強の効率についてお話ししたので、今回は勉強するときに記憶を効率よく行う方法についてお話しします。
記憶力に関して話をする時によく出されるものがエビングハウスの忘却曲線です。
これは心理学者のエビングハウスが実験によって導き出したもので、人は20分後には憶えた事の42%を忘れ、1時間後には56%、そして1日後には66%を忘れてしまうということを示したものです。
エビングハウスは全て忘れてしまう前に反復して記憶することで忘却の速度を遅らせ、記憶を定着させやすくさせると説明しています。
これはもちろんとても大事な発見で、記憶の効率を上げてくれるものではありますが、私はこれだけでは不十分だと考えていました。
タイミングを合わせてもやはり覚えにくいものはあるし、私はかなり記憶力が悪かったので、別の方法がないかと考えていました。
そんな時に出会ったのが記憶力選手権で優勝した方が書かれた本でした。その本に紹介されていた方法が『場所法』という方法でした。
『場所法』とは、自分が普段よく通る道やよく行く場所を思い浮かべながら、そこにある物と記憶を結びつけていく方法です。
これだけ聞くとあまり勉強には役立ちそうにはありませんが、私はこの本を読んで『記憶とは何か別のものと紐付けする事で効率が上がるものだ』と気がつく事ができました。
こうした私の体験を基に今回は勉強時の記憶力を高める方法を書いてみたいと思います。
反復
まずは皆さんが当然と考えている反復です。
同じことを繰り返すことで知識を定着させることができますし、知識だけでなく技能も同様に体に定着させることができます。
ただし記憶しにくいものに関してはいくらっ復しても記憶が定着しない事がよくあります。そのため、この反復にいくつか別の方法を重ねて記憶力をさらに高める方法をお勧めします。
別の刺激を加える
ノートに何度も書いたり、今教科書を何度も繰り返し読むだけでももちろん勉強になりますが、別の刺激を組み合わせることで記憶力を高めることが可能です。
別の刺激というのは具体的には『五感』を基にした刺激のことです。
例えば教科書を繰り返し読む事は『視覚』刺激だけで成り立っています。
ノートに書いて覚える人は『触覚』で刺激を入れていることになります。
例えば教科書を読むときに音読という動作を加えると、耳からの情報は『聴覚』刺激となりますし、口を動かす動作がさらに別の刺激となって記憶を刺激します。
文字だけの教科書を読むだけでなく、関連する動画や映像作品を見ることで文字とは別の『視覚』刺激が入り、記憶に定着しやすくさせる事ができます。
仮に利用できる動画などがなければ自分の頭の中でイメージを膨らませるだけでも新しい視覚刺激にする事ができます。
教科書をイメージとして記憶する事ができる人などは映像につなげて記憶する方法は向いているかもしれません。
感情につなげる
人間は『感情』という別の刺激を加えると記憶に定着しやすくなります。
皆さんも自分の人生で強い感情とつながった思い出が記憶として定着する事を経験したことはありませんか?
例えば本当に悲しい出来事が頭から離れなくなり、何年も経った後でもその時の気持ちが簡単に思いだせたり、本当に嬉しかった事なんかは何年も前に経験した事であったとしても、今でもすぐに思いだせるなどの経験です。
これらは一見勉強とは全く関係ないように思えますが、一工夫する事で勉強に結びつける事ができます。
勉強する時や教科書・本を読む時に目次などから事前に内容を予想しておき、本文を興味を持って読む努力をします。
それにより内容が自分の思っていた通りだったとしても、クイズに正解したような気持ちが加わり、単に本を読んだ時よりも感情の刺激を加える事が可能です。
書いてあった内容が自分の予想もしていなかった内容だった場合には驚きの刺激が加わり、これによっても記憶力を刺激する事が可能です。
歴史の勉強をする時などは、題材となっている人物の感情を想像して見る事でも記憶力を刺激する事が可能になると思います。
ゴロで覚える
大体の方がこの方法を試した事があるのではないでしょうか?
これは最初に紹介した『場所法』と近いものがあります。
記憶のフックをゴロで作る事で記憶を呼び起こしやすくなります。
代表的なものとして年号や元素の周期表などですね。
なかなか覚えられない内容などはインターネットでゴロを探して自分にあったものがないかを探して見る事をお勧めします。
さらに自分で独自のゴロを作れる人はそれを強くお勧めします。
自分で作る事で忘れにくくなりますし、ゴロを作るために悩む作業自体が記憶を定着させるにはかなり効率の良い勉強方法だからです。
正確にはゴロではありませんが、数字を野球選手の背番号と紐付けて覚えたり、似た名前の友人を思い浮かべて紐付けするのもかなり有効です。
人に説明する
これは実際に友人などに説明できれば一番良いですが、それができなくても空想で生徒を思い浮かべて、その人に自分が勉強した内容を自分なりの解釈を加えたり、わかりやすく言い換えたりして説明する練習をする事でも効果があります。
私自身はこれが最も効果が高かったです。
自分がその日1日勉強した内容を自分の中で咀嚼して、わかりやすく言い換えて空想の人に説明する復習方法を行い始めてから記憶の効率が一気に良くなった経験があります。
まとめ
反復、刺激、感情、ゴロ、説明と色々な方法を説明しましたが、これらの方法の根底にあるものとして、より多くの種類の刺激を脳にいれ、記憶を別のものと紐付けし、時間をかけて自分の頭で処理をするという事が言えると思います。
以上の基本を抑えていれば、今回紹介した方法だけでなく、自分で考えた別の方法もより効率の良い勉強方法として有効になる可能性があります。
ぜひ自分の勉強方法を今日説明した基本に則って構築してみてください。
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