英語学習者の多くが課題として持っているのが長文問題ではないでしょうか。
TOEIC、TOEFL、IELTS、英検の試験のリーディングセクションでは長文が含まれており、点数を拾っていくことが難しくなっています。
それではどうしたら長文の点数を上げる事ができるようになるのでしょうか。
それを知るためには、まず長文問題がなぜ難しいのかを分析する必要があります。
私が考える長文問題で点数を落とす理由は2つです。
一つは英語の文章が理解できず、解答を間違えてしまうケースです。
このパターンに関しては、文章の意味がしっかりと理解できるように文法を勉強したり、単語、熟語を勉強する必要があります。
そしてもう一つのパターンとして、文章を読むのに時間がかかり正解の部分にたどり着けない、又は急いで文章を読む事で正解の部分に気づかないというパターンです。
英語の初心者に多いのはむしろこちらの問題のように私は感じています。
自分自身もTOEICを受験し始めた大学生の頃は英語を読むスピードが遅すぎて、リーディングの問題の後半半分が解けていませんでした。
この時間が足りないパターンは自分のペースで一文ずつ文章を理解すれば、いくつかの問題で正解できる可能性があるので、時間さえ確保できれば短期間で点数を上げられる可能性があります。
では長文を読む時間を確保するためにはどのような事をすべきなのでしょうか?
その答えは、逆説的ではありますが、長文を全て読まない事です。
いわゆる問題に関係している場所だけをしっかりと読んで、関係ない場所は一切読まないと言うテクニックです。
この方法は英語の試験テクニックとしてはよく知られた方法なので聞いた事がある人は多いと思います。
しかし、具体的に文章のどの部分をしっかりと読み込み、どの部分を飛ばしたら良いのかまで説明できる人は少ないのではないでしょうか?
今回は私がシドニー大学の大学院で教わった『スキミング』と『スキャニング』についてご説明したいと思います。
スキミング
スキミングとは英語の速読をする時によく紹介されているテクニックで、文章全体の内容をざっくりと理解するためのテクニックです。
どのような文章構造で、どこに文章全体のトピックセンテンスがあるのかを最短で見つけ出すための方法です。
文章が学術論文やフォーマルな文章の場合、スキミングではまず図やグラフに先に目を通し、本文より先にグラフの説明文から文章全体の内容を推測するところから始めます。
そしてその次に各段落の先頭の一文と、段落の最後の一文だけを読んで、その段落にどのような内容が書かれているのかを推測します。
アカデミックな文章や特別に長い長文問題では、文章の構成がしっかりと守られている事が多いので、スキミングで文章の流れを掴むのに特に向いていると言えるでしょう。
しかし、段落の先頭や最後の文章にトピックセンテンスや、問題の答えになるようなキーワードとなる部分が含まれている事はあまりないので、このスキミングだけではすぐに点数が上げるのは難しいです。
そこでスキャニングという方法が役に立ってくるのです。
スキャニング
スキャニングとは、単語などのキーワードを探して文章を流し見する方法の事です。
わかりやすく言えば、パソコンの単語検索機能のような文章の読み方の事です。
例えば、図1に関連した問題に回答する時、スキミングで大まかな場所の検討をつけた後に、その段落内にある『図1』と言うキーワードだけを探しながら高速で文章を見ていきます。
基本的にキーワードを見つける事がスキャニングの一番の目的なので、文章の内容を理解する必要はこの時点ではありません。
そして、『図1』というキーワードを見つけ、そこに印をしたら初めてその周囲の文章をゆっくりと読みこみ、問題の答えになる部分を探していきます。
この際にキーワードが問題文に使われている単語のままではない時もあるので気をつけなければなりません。
他の同義語に置き換えられていたり、言い回しを変えて本文中に存在することがあるので、スキャニングを行う時にはキーワードの同義語も頭に思い浮かべながらスキャニングを行う必要があります。
同義語の例として
Leave 〜 ⇨ go out 〜
Handle 〜 ⇨ deal with 〜
のように動詞が入れ替わったり、
Institution ⇨ Organization
Policy ⇨ Approach、Strategy
などのように名詞が別の単語に代わっていたりします。
さらに能動態の文章が問題文で言い回しが変化して受動態になっていることもあるので、このような場合にも注意が必要です。
このスキミング、スキャニングの2つの方法を実践すれば、英語の長文問題を解く時に今までよりも早く内容を理解し、問題をより多く解くことが可能になる事は間違い無いでしょう。
しかし、それでもスキミング・スキャニングを駆使すれば完璧に文章問題を解けるというわけではもちろんありません。
ある程度これら2つの方法に慣れていたとしても、キーワードを見逃さずに、完璧に文章のトピックセンテンスを見つけ出したり、問題を解いたりするには不十分です。
スキャニングで高速でキーワードを探していて、そのまま見逃してしまう可能性も十分あるでしょう。
そのため、キーワードを見つけられる精度は70%〜80%程度かもしれません。
しかし、もしあなたがこれまで時間が足りずにリーディングの問題を全て解き切った事がない方であれば、この2つのテクニックがあなたの「時間が足りない」という悩みを解決し、最後の問題まで解答する時間が確保できるようになるでしょう。
これまでほとんど点数が取れていなかった部分で、半分でも点数が取れれば、全体としてみれば以前よりも点数は大きく伸びるはずです。
これまでリーディングの問題で問題を最後まで解ききった事がない方達はぜひこの方法を試してみてください。
英語を読むスピードを上げるのは一朝一夕では難しいですが、スキミング・スキャニングを身につける事は何度か練習を積めば簡単にできるようになります。
ぜひ一緒にリーディングの点数を伸ばして、目標としている点数を取れるようになりましょう。
皆さんの試験の点数が少しでも上がる事を祈っています。
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