こんにちは総合医です。
現在私はオーストラリアのシドニーで博士課程留学に向けて準備をしている所です。
オーストラリアの大学院は多くの場合、年間約500万円程度の授業料が必要で、博士課程の4年間で2000万円が必要になります。
日本人がオーストラリアの大学院に留学しようとするとこのお金の問題が大きくのしかかってきます。
しかし留学生向けの奨学金というのは非常に競争率が高く、よほど良い成績をとっていない限り簡単には奨学金を獲得する事はできません。
私も修士課程で留学した時には英語力が低かったためにあまり良い成績が取れなかったので、博士課程向けの奨学金はとても取れる状況ではありませんでした。
しかし、奨学金獲得に向けてコツコツと頑張った事でなんとか奨学金を獲得する事に成功しました。
今回はそんな私の経験から、海外大学院 (博士課程向け)の奨学金を獲得するために私が気をつけて行った事を書いてみたいと思います。
奨学金獲得のために必要な2つのもの
成績があまり良くなくても奨学金を獲得するために必要なものとして以下の2つのものが大事なのではないかと私は思います。
それは『推薦状』と『詳細な研究計画書』の2つです。
私はこの2つ以外には特別な事はしていないので、おそらくこの2つが勝敗を分けたのだろうと考えています。
ちなみに普通に博士課程を受験しただけでは推薦状はもらえませんし、研究計画書も詳細なものを作るのは難しいと思うので、私がどのようにこの2つを手に入れたのかをこれからご説明します。
どのように推薦状を得たか
単純に言えば指導教官になる予定の先生に依頼して書いてもらうだけです。
ただ、一緒に研究をした事もないのに普通は推薦状などもらえる事はないので、そこは少し考える必要があります。
私が考えた戦略は人手が足りておらず、博士課程の学生でいいから欲しいと考えている研究チームを探す事で、指導教官からなんとか推薦状、もしくはそれに相当する援護射撃がもらえるようにしました。
具体的には、知り合いの研究者に人手を募集している研究チームがないか聞いてみたり、大学のホームページに博士課程学生募集の掲載されていないかを定期的に確認しにいき、自分の興味に沿う研究トピックがあれば申し込みの書類を送っていました。
そうする中で何度か面接に呼ばれた事があり、面接では自分のこれまでの経験が募集している研究トピックと関連しているか、修士課程で学んだ事がどの程度役に立ちそうかをお話しました。
最終的に2人の指導教官候補から合格を頂き、そのうち1人から推薦状を書いてもらう事に成功しました。
教授の方もせっかく面接試験まで行ったのに、お金の問題で学生が採用できなかったら二度手間になってしまうので、推薦状の依頼は快く引き受けてもらえました。
これは医師の場合にしか当てはまらないかもしれませんが、私は臨床をやっている時から英語のケースレポートを書いていたので、その点を好意的に評価してもらえたのではないかと思います。
少なくとも論文の形で文章を書いて出版するだけの能力と根性はあるというようにみてもらえたのだと思います。面接中に自分一人で書いたのかと結構突っ込んで聞かれました。
それに加えて、私は公衆衛生学修士課程で生物統計学の授業を2つ取っており、ロジスティック回帰分析やCox Proportional Hazardモデルも勉強していたので、その点が高評価につながったようです。
指導教官が今後行う予定の解析がおそらくロジスティック回帰分析を利用した解析方法で、解析ソフトを使った経験があるというのは大きなアドバンテージになったのではないかと思います。
詳細な研究計画書
研究計画書は博士課程に進学する時に指導教官と書き、博士課程入学の合否を判定する判断材料の一つになります。
博士課程までに研究の経験があまりない私のような場合は、それほど現実的で詳細な研究計画書は書くのが難しいと思いますが、大学側からすると、計画書が具体的で実現可能性が高そうなものである程博士の学位獲得の可能性が高いと考えるので、奨学金も獲得しやすくなります。
私も公衆衛生学修士課程を卒業した時には、博士課程向けの奨学金をとる算段がつかなかったので、1年間別の大学で研究修士として研究を行う事になったのですが、その時に書いた研究計画書は具体性が乏しく、かなりふわふわしたものになっていたと思います。
結局その時は研究修士に入学後に指導教官の研究分野に沿った研究計画書を新しく書き直して、自分で考えていた研究とは全く別の研究を行う事になりました。
それならなぜ今回奨学金を獲得出来るほどの詳細な研究計画書を書けたのかというと、それはすでに指導教官の研究がある程度進んでいて、指導教官が作成した研究計画書が存在していたからです。
研究内容は多少変更点があるものの、利用するデータや解析方法などは重複する部分が多くあったので、指導教官からもらった計画書を基に自身の計画書を作る事ができました。
おそらく指導教官と相談しながら一から作成していたら、ここまで詳細なものを作成するのは困難だったでしょう。
博士課程受験を考えている方はこの点を少し頑張る必要があると思います。
なぜなら、指導教官からすると、研究計画書は入学後により詳細なものに詰めていけばいいし、博士課程に入学する事自体はそれほど難しいことではないという認識を持っている方が多いからです。
私の知り合いの研究者の方も、博士課程入学後に研究計画書を一から作り直したと言っていました。
オーストラリア人が博士課程に進学する分にはそれでもちろん問題ないのですが、奨学金が欲しい外国人からするとそれでは不十分なので、この点は本当に頑張っておいた方が良いと思います。
まとめ
結論を言えば、私の場合奨学金を獲得するのに推薦状と詳細な研究計画書がとても大きな役割を果たしたと思います。
運の要素も多分に含みますが、人手を募集している研究チームを見つけるために定期的にいくつかの大学のホームページを確認していた事が勝因の一つだと思います。
推薦状などなくても奨学金が得られるような成績を取っておくのが一番の近道ですが、私のように成績がそれほど良くなかった人達に今回の記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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